2010年06月07日

【ゆがむ郵政「改革」】生田正治・元郵政公社総裁に聞く「政策議論を深めて」(産経新聞)

 郵政改革法案成立に突き進む政府・与党の動きについて、小泉政権時代の日本郵政公社総裁として郵政民営化に取り組んだ生田正治・商船三井最高顧問に聞いた。一問一答は次の通り。

 −−首相に選出された菅直人氏も今国会での郵政法案成立を目指す姿勢だ

 「今からでも国会での政策論議を深めてほしい。民主党が本来の改革姿勢を取り戻すチャンス。もともと衆院選で国民が支持したのは民主党だし、民主党らしい民営化推進の政策を進めれば良かった。だが、郵政問題の対応を国民新党に丸投げしてしまった」

 −−連立維持を優先しすぎて、国民新党の主張をのまざるを得なくなった

 「国民新党は全国郵便局長会(全特)と極めて親密。郵政事業の健全化には既得権にとらわれず、全特を中心とする郵便局のシステムの合理化が不可欠だが、郵政法案は逆に実質的に再国営化して既得権を保護しようとしている。国民を愚弄(ぐろう)するものだ」

 −−なぜそうなったのか

 「物心両面での選挙での支援が目当てだろう。郵政にいい顔をすれば、30万票といわれる全特の組織票が期待できる。立候補者にすれば、涙が出るほどありがたい。ただ、郵政で政治と癒着しているのはひと握り。ほとんどの局員たちは懸命に仕事をしている」

 −−鳩山政権に限らず、これまでも郵政は政治に翻弄(ほんろう)されてきた

 「郵政選挙から1年あまりの安倍政権下で、自民党は郵政造反派の議員を復党させた。日本はこのころから背骨が抜けて、第2の『失われた10年』に入ったのではないか。鳩山政権は明確なビジョンのないまま第2ラウンドの混迷を大幅に増幅させてしまった」

 −−郵政をめぐる政治的な動きには批判も根強い

 「参院選では郵政の組織票をある程度得られるのかもしれないが、いくら取り繕っても国民はよく見ており(無党派層の)浮動票は逃げるはずだ」

                   ◇

 ■政策論回避の情緒論にすぎぬ

 −−郵政改革法案は衆院の委員会審議がわずか1日しかなく、強行採決した

 「小泉政権時代の郵政民営化法案は、政府の経済財政諮問会議で十分に議論した上、国会でも200時間近い審議時間を取った。今回は時間数もさることながら、政策に関する議論がまったく抜けている」

 −−国民新党の亀井静香代表は、郵政民営化で過疎地の郵便局が減り、地方が切り捨てられたと訴えている

 「私が日本郵政公社の総裁だったころから、どうみても不要と思われた集配局の統合など郵便事業改革に取り組んできた。戦後、道路事情が不便だった時代のままの形が残っていたからだ。もちろん過疎地の人にわざわざ『不便になりましたか』と聞けば、『そうなった』と答える人もいるだろう。でも、郵便局の地方ネットワークを維持すべきだということは、これまで何度も強調されてきたし継続されているはずだ。いままでの政府のお話は政策論回避の情緒論にすぎない」

 −−やはり民営化前の郵政に問題は多かったのか

 「かつての郵政のように国営や公社的な形で存在する巨大な金融機関は先進国で例をみなかった。私が総裁に就任した時点で、3メガバンクの合計よりはるかに巨大な資金が『官』である郵政にあった。しかも運用は国債中心で、利益率は民間をはるかに下回っていた。巨大な資金を市場に戻し、金融市場や経済を活性化させる郵政民営化は国益上、絶対に必要だった」

 −−現在の郵政法案は、そのニーズに逆行している

 「そもそも民主党は、自民党の対応が不十分だった既得権や無駄の排除、天下りの根絶を掲げたため、国民から拍手喝采で迎えられたはずだが、現実には、逆に日本の構造改革はストップしている。とりわけ郵政法案は、旧郵政省時代よりも、もっとひどい状態への“逆噴射”の動きだ」

 −−官業色を強めた郵政法案に対しては欧米でも批判があり、世界貿易機関(WTO)への提訴問題も浮上している

 「表紙だけ株式会社化して民営だと主張しても、欧米からみれば『ウソをつくな』という話だ。天下りの官僚が経営を担い、実質的な政府保証もついている中で郵便貯金や簡易保険の限度額を倍増すれば、民業圧迫とか不公正とかいわれても当然だ。郵政法案は日本の品格を著しく下げる。WTO提訴は十分に考えられる」

 −−将来的に郵政事業をどうすればいいのか

 「もう一度郵政民営化路線に戻り、株式売却などで郵政事業を市場に戻すべきだ。ゆうちょ銀行は資金量を減らし、かんぽ生命保険は民営化してノウハウを蓄える。郵便事業会社も国際物流など事業の多様化を行えば利益は確実にあがるはずだ。そのすべての前提として会社の中の会社のような存在の旧特定郵便局のあり方を改め、市場の常識的なレベルに改革することだ」(藤沢志穂子、神庭芳久、森田晶宏)

【プロフィル】生田正治

 いくた・まさはる 昭和32年慶応大卒後、三井船舶(現商船三井)。取締役などを経て平成6年6月社長、12年6月会長。15年4月から19年3月まで日本郵政公社総裁を務めた。22年2月から商船三井最高顧問。兵庫県出身、75歳。

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posted by オリハラ ジュンイチ at 11:10| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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